契約書って何のために作るの?

By suzutaka, 2016年10月5日

会社関係の法律相談や訴訟をやっていると,「契約書」の内容と実態が合っていない…という場面に遭遇することがあります(しかも,結構な頻度で)。

おそらく,「契約書」「書式」などの検索ワードで調べて,インターネットで落ちている書式を言葉だけ少し変えて使っていることが原因なのでしょう。

 

大企業であれば,社内の法務部にベテラン従業員がいて,契約書のフォーマットもある程度蓄積されたものがあると思いますが,中小企業の場合には社長自ら契約書を作っている…なんてところも多いのではないでしょうか?

見よう見まねで,条項の意味を理解せずに契約書っぽいものを作ってみたものの,結局それが原因でトラブルになっては元子もありません。

 

●契約書を作成する目的は何か

原則として,意思表示の合致があれば書面がなくても契約が成立する(保証契約や特殊な契約を除く)ので,発注書と納品書だけでも契約としては有効に成立しているといって良いでしょう。

しかし,法律に規定されている条件とは異なる条件に設定したい場合(例えば,瑕疵担保責任を負う期間を1年以下にしたり,違約金条項を定めたりする等)や,解釈基準を設定したい場合(例えば秘密保持契約における「秘密情報」の定義など)に,口頭のやり取りしかなかったら,後々トラブルになったときに言った・言わないの水掛け論になってしまいますよね。

 

「契約時にお互いがどんな認識・目的をもっていたのかを事後的に確認できるようにすることで,トラブルを未然に防ぐ」というのが,契約書を作成する最たる目的です。

 

●裁判実務での取扱い

裁判では,当事者が署名押印した契約書がある場合は,その契約書が偽造されたり,契約に至るまでの過程に問題がなければ,基本的には契約書通りの内容で事件が進んでいきます。

契約書に記載のない条件が定められていたとしても,それを事後的に立証することは非常に難しいです。

例えば,美容健康機器の営業マンが「効果が出なかったら返金しますよ!」と口頭で言っていたとしても,契約書にその旨の記載がなければ,なかなか返金合意を認定してもらうことは難しいです。

また,訴訟前の交渉で「あの時,お金を返してくれるって言いましたよね?」と迫って,その時のやり取りを録音していたとしても,日本語って曖昧な表現が出来てしまうので,録音があるからと言って必ずしも立証に成功するとは言い難いことがあります。

他方で,契約書があったとしても一方当事者に著しく有利または不利な条項を入れていると,場合によっては公序良俗違反や暴利行為と認定されて無効と扱われてしまう可能性もあります。

 

●契約書のチェックポイント

金銭的なやり取りが発生する契約の場合は,以下の点をチェックしてみてください。

①当事者がどんな義務を負うのか

②いつお金を支払ってもらうのか

③どんな時に契約が解除になるのか

この3つの視点は,紛争になったときの主たる争点に置き換えることができます。

つまり

①相手が義務を履行してくれない

②期限を到来してもお金を支払ってもらえない

③一方的に契約を解除された

ということです。

 

これ以外にも,お互いが想定しているビジネスの内容を反映させた契約内容になっているか(スキームも含めて)を検討すべき項目がありますので,安易にWEB検索に頼らずに弁護士に相談することをお勧めします。