【IT】口コミ投稿で大打撃を受けたら?!

By suzutaka, 2016年7月28日

飲食店やホテルを利用する際に,口コミサイトを閲覧して,そこでの評価や写真を参考に予約を取る方も多いのではないでしょうか。

一昔前に某グルメサイトで「やらせ」が問題になりましたが,お店側としては「変な口コミを書かれて店の売上が下がったら困る」ということもありますよね。

サイトによっては,良い評価は点数をプラス,悪い評価は点数をマイナスにして,表示順を変えたりするものもありますから,「検索されやすい店」になるために口コミの評価が重要だと思う方も多いでしょう。

一方で,サイト運営者側としてはユーザーの信頼度を高めることでアクセス数も伸ばして広告効果の高いサイトに育てたいという意向もあります。

 

今回は,某有名口コミサイトに書き込みをされた飲食店オーナーからの相談です。

【相談の概要】

私は,東京都内で焼肉店を経営しています。

客層は若いカップルから家族連れまで様々で,毎日忙しくさせてもらっています。

先日,ある家族連れが来店し,「網をちゃんと変えてくれなかったから肉が焦げ付いて全然美味しくなかった」とクレームを受けました。

当店では,お客様の食べるスピードに合わせて適度に網を交換するようにしているのですが,その日は入ったばかりのアルバイトがホールを担当していたので,もしかしたら不手際があったのかもしれないと思い,「すいません,料金はサービスさせてもらいます」と言って,お会計から値引きさせてもらいました。

数日後,常連客から「変な口コミが書いてあったよ」と言われ,グルメサイトを確認してみると,「店主にちょっと文句を言えばすぐに料金を値引きしてくれる」「メニューには国産ブランド和牛と書いてあるけど,どう考えても輸入牛の味」等と書いてありました。

当店は,国内のブランド牛を育てている畜産業者と提携し,安定して美味しい肉を仕入れられるようにしています。実際に飼育場に何度も視察に行っていますから間違いないものを提供している自信があります。

また,アルバイトに確認したところ,網はしっかり交換していて,お客様は注文頂いた肉を「美味しい」と言いながら全部食べていたとのことでした。

この口コミのせいでお客が減るのは困りますし,嘘を書いた張本人に対しては制裁を加えたいです。

 

【アドバイス】

●口コミを削除できるか?!

サイトの運営者側の方針にもよりますが,「口コミを投稿された側」の削除に消極的なパターンは多いです。

というのも,色々な評価を載せておいた方がサイトとしての公平性が保たれますし,ユーザーの信用性がアップしてアクセス数が増えれば,サイトとしての価値が上がるからです。

サイト運営側が「不適切な表現」と判断すれば自主的に削除することもありますが,虚偽の事実や誹謗中傷を目的とするだけの投稿が掲載され続けることによって深刻な被害を受ける可能性がありますから,主体的に削除する方策を考えた方が良いでしょう。

「投稿した側」からの削除依頼であれば応じる…というサイト運営者もいますので,投稿した人を探して損害賠償請求と併せて削除を求めることになります。

 

●投稿したのは誰か?

みなさん,インターネットを利用するときにプロバイダと契約しますよね。

いわゆるインターネットサービスプロバイダは,契約者の名前や住所を管理していますから,インターネットサービスプロバイダに「誰が投稿したか教えてください」と言えればいいわけです。

しかし!

投稿者がどのプロバイダを使っているかは分かりませんよね。

そこで,まずはコンテンツプロバイダに対して発信者情報開示請求をしてIPアドレスの開示を求めます。

※「コンテンツプロバイダ」とは,簡単にいうとWEB上で掲示板やブログサービスを運営している事業者のことをいいます。

 

裁判所を経由しない方法としては,一般社団法人テレコムサービス協会に対して発信者情報開示請求をすることが挙げられます。

http://www2.telesa.or.jp/consortium/provider/provider_hcklist_20111007.html

発信者情報開示請求があるとコンテンツプロバイダは発信者に対して発信者情報開示請求が届いたことを連絡し,開示に同意するか否かの意見を発信者から聞き取ることになります。

書き込みをした人物が「開示請求されている」という状況を認識することで,「あの時の投稿は削除しようかな…」と,自発的な削除を促す効果が得られる可能性はあるでしょう。

ただし,コンテンツプロバイダが照会をかける方法としては登録時のメールアドレスだけだったりするので,連絡が取れないこともありますし,法的な拘束力があるわけではないためトラブルに巻き込まれたくないと考えて開示してもらえない可能性もあります。

裁判所を経由する方法としては,コンテンツプロバイダに対して発信者情報開示の仮処分申し立てをすることが挙げられます。

仮処分の場合,①被保全権利と②保全の必要性を主張・疎明する必要があります。

つまり,①発信者情報開示請求権があること②速やかに開示を受けなければ権利が実現できず,損害が発生するおそれがあることを説明し,その説明の根拠となる資料を提出することになります。

この手続きでは,申し立てた側とコンテンツプロバイダ側の両方から意見を聞いて裁判所が判断を下します。

仮処分で「開示せよ」との判断になる場合は,担保金を積むことになりますので,申立にかかる費用以外にもお金を用意しておくことが必要になります(あくまでも担保なので,担保原因が消滅すれば返金されます)。

 

上記いずれかの方法でIPアドレスが分かれば,そのIPアドレスがどこのインターネットサービスプロバイダのものかを検索し,インターネットサービスプロバイダに対して発信者情報開示請求をすることになります。

この場合も,裁判所を経由しない方法としては,一般社団法人テレコムサービス協会に対して発信者情報開示請求があります。

また,裁判所を経由する方法としては,インターネットサービスプロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を提起することになります(仮処分ではなく,通常の裁判ですが基本的な主張立証の方法は同じです)。

 

上記の手続きを経て契約者(投稿者)の氏名と住所が分かれば,いよいよ名誉棄損について損害賠償請求の交渉または裁判へ…と進むことになります。

【まとめ】

投稿者に対する裁判にこぎつけるまでには手間も時間もかかりますし,裁判所を経由する方法を取る場合には専門的な知識が必要な場合もありますから,「ウェブサイトに誹謗中傷する書き込みをされた!」と分かったら,なるべく早めに弁護士へ相談した方が良いでしょう。

また,相談に行かれるときには投稿されたウェブページのスクリーンショット等,証拠も持参するとより適切なアドバイスを受けることができます。