【子ども】面会交流は誰のためにするの?

By suzutaka, 2016年6月1日

平成23年の民法改正で,民法766条1項に「父母が協議場の離婚をするときは,子の監護をすべきもの,父又は母と子の面会及びその他の交流,子の監護に関する費用の分担その他子の監護について必要な事項は,その協議で定める。この場合においては,子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と規定されました。

とはいっても,現実に「離婚」となったときに「子の利益」を優先して話し合える夫婦は,なかなかいません。

お子さんがいる夫婦の離婚で一番揉めるのは親権をどちらが取るのか,面会交流をどうやって実現するのかという点です。

当事者間で話し合いがつかなければ離婚調停の話し合いの中で決着をつけることになりますが,離婚調停で取り決めても「養育費が支払われない」「子供に会わせてもらえない」という方が非常に多いです。

さて,今回の相談者は,既に離婚をしているシングルマザー(30代後半,女児1人)の方です。

【相談の概要】

3年前,元夫の浮気が原因で離婚になりました。娘は私が引き取って育てています。

元夫との間では,養育費として月額3万円を支払う代わりに,月1回の面会交流を認めるという約束になっていました。

しかし,最近になって「再婚相手との間に子供が出来た。生活が苦しいから養育費を減らしてほしい」と言われました。

昔から約束にルーズな人でしたが,「自分の娘のことでも約束を破るなんて!!」と本当に腹が立ちました。こんな父親に娘を会わせたくなかったので,娘に「パパは新しい家族ができたから,もう会えないよ」と言って,面会もさせませんでした。

すると,元夫は面会交流の調停を申し立ててきました。

こんな父親にも面会交流を求める権利があるのでしょうか。

 

【アドバイス】

元夫・元妻が離婚後新しいパートナーを見つけることもありうることですし,新しい家族ができて生活状況が変わることもあるでしょう。

ただ,それが子供に影響することになると,すんなり受け入れることは難しいですよね。

面会交流の調停は不成立になると自動的に審判に移行します。

また,父親が「面会交流に応じない母親なんて,親権者として不適格だ!」と言って,面会交流に加えて親権者変更申立や監護者変更申立もする…といった別の紛争を誘発する可能性もあります。

近年では正当な理由なく面会交流を認めない親権者に対して厳しい裁判例も出ていますから,調停にはしっかりと対応した方が良いでしょう。

 

元夫が「父親」としての役目を果たしていない!と感じられるケースでは,「面会交流は誰のために実施するのか?」というのが毎回テーマになります。

確かに養育費の取り決めをしたのに支払わない…という父親は,非常に問題がありますね。

ただ,裁判実務では面会交流と養育費の支払いは対価関係にないという取扱いをしています。

それは,どちらも子どもの権利だからです。

子どもは,母親からも父親からも愛情を受けて育ててもらう権利を持っていますから,離れて暮らす一方の親と交流することも,養育に必要な費用を請求することも,どちらも権利として両立するわけです。

 

では,面会交流の調停はどんなふうに進んでいくのでしょうか。

一般的な流れとしては,面会交流が出来ない原因を探りながら,お互い折り合うことができる条件を見つけ出していくことが多いです。

裁判所としては,虐待や連れ去りの危険がなければ基本的には面会を認める方向で話し合いを進めます。子どもが絡む問題を扱う調停は,調停委員のほかに家庭裁判所調査官も初回から立ち会うケースが多いです。

調査官は,双方の言い分を聞きつつ,監護親からは子どもの様子や面会の障害になっていることを聴き取り,非監護親からは離婚前の監護状況や面会できなくなった経緯等を聴き取ったりします。

また,裁判官の命令により調査官が子どもと面接を行って,日頃の生活状況や両親の紛争をどう感じているのか等を聴き取り,面会交流を実施して差支えないか,実施の際にはどんなことに注意してもらう必要があるか等を調査することがあります(これは後日,調査報告書として提出されるため閲覧謄写することができます)。

 

調査結果をふまえて,具体的な実施方法について協議することになりますが,子どもが幼い場合には監護親の協力が不可欠ですから,感情的な対立が深刻な場合には条件を整えるのが難しいです(調停が成立しないと,審判に移行して裁判所が「面会交流を月1回程度認める」等と判断します)

また,子どもが12歳以上で意思表示をしっかり出来るようになってくると,子どもの意見が尊重されますので,子ども自身が「会いたくない」と頑なに拒絶する場合には,手紙や写真などの間接的な面会交流から始めるということもあります。

同居中は子どもにほとんど向き合うことがなかった親が,離婚してから「会いたい」と言っても子どもに「今さら・・・」と言われてしまうことも少なくありません。

特に,両親の離婚によって生活環境を大きく変えられた子どもは,なかなか離婚を受け入れられずにいますから,離婚に際してだけでなくその後も子どもの心をケアすることは必須でしょう。

 

面会交流の調停で決めた約束事は必ず守らなければなりません。

正当な理由なく面会交流の実施に協力しない場合には,履行勧告を受けたり間接強制(面会に応じない場合には1日あたり1万円支払え,等の命令を出すことがあります)の対象になりますから,注意しましょう。

また,場合によっては面会交流を妨害したとして慰謝料請求をされることもありますから,調停での取決めた内容は,真摯に履行することをお勧めします。